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患者申出療養制度って何?|未承認薬を保険治療と併用する方法

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患者申出療養制度って何?

今年(2016年)の4月から患者申出療養制度というしくみがスタートしていることをご存じですか?

漢字だらけで、見ただけで目をそむけたくなりそうな名称ですが、治療が困難な病気になったときなどに、まだ保険適用されていない未承認の薬を試すことができる制度です。

病院で受けられる診療には、公的な医療保険として健康保険が適用される保険診療と保険がきかない自由診療があり、原則その両方を併用することはできません。しかし、この制度を使うと、保険診療を受けながら保険適用外の治療も受けられるのです。

少し難しい話になりますが、もしものときに役に立つかもしれませんし、場合によっては民間の医療保険の入り方にもかかわる部分がありますので、概要は知っておくとよいでしょう。

1.患者申出療養制度とは?

例えば病気の治療において、通常の治療で使う薬では効果がなく、健康保険が適用されない未承認の薬を試してみたいといったときに、患者側からの申請(申出)で、通常の保険診療を受けながら未承認薬も使える制度です。

ただし、申請すればどんな薬も自由に使えるわけではありません。

  • 国が安全性・有効性を確認する
  • 将来の保険適用に向けた計画の作成を臨床研究中核病院に求め、これを国が確認する
  • 実施状況等の報告を臨床研究中核病院に求める

という条件のもと、保険診療と併用が認められます。

1-1.そもそも未承認薬は併用できないのか?

日本では国民皆保険で誰もが公的な医療保険(いわゆる健康保険)に加入しています。病院にかかったときの治療費や薬代には健康保険からの補助があるため、通常、自己負担は3割(年齢により1~3割)ですんでいます。

この場合、健康保険のもとで実施できる治療法や処方できる薬はあらかじめ決まっています。もし、それ以外の治療を受けたり薬を処方してもらうと、それは自由診療と言い、医療費全額を自己負担することになります。わかりやすい自由診療としては、レーシックや美容整形などがあります。

それでは、通常の保険診療を受けながら、同じ病気で、一部、未承認の薬を使ったとしたらどうでしょうか?

そのように保険診療と自由診療を併用することを混合診療といいますが、日本では、原則、混合診療は認められていません。もし、一部でも未承認の治療や薬を使うと、本来は健康保険が適用される治療も含めてすべての医療費を自己負担しなければなりません。

つまり、未承認薬の併用は認められていないのです。

ただし、一部、混合診療が認められる場合があります。

<混合診療が認められる例>

  • 差額ベッド代
    個室などを利用したときの室料は健康保険適用外で全額自己負担となりますが、保険治療と併用できます。
  • 歯科治療
    保険診療と保険のきかない詰め物(金、セラミック等)の併用等が認められています。
  • 先進医療
    保険導入に向けた臨床試験中の治療として保険診療との併用が認めれられています。

1-2.患者申出療養制度が作られた背景

もし治療が困難な病気にかかって、いろいろな治療を受けても回復がみられないときに、「まだ未承認だけど○○という薬なら効果があるかもしれない」という話を聞いたら、試してみたいと思う人もいるのではないでしょうか?

患者申出制度は、そのようなときに、まだ治験や先進医療が実施されていない薬をできるだけ早く、患者が保険外の併用治療として使えるようにするためにできた制度です。そして、国としても、将来保険適用につなげるためのデータ、科学的根拠を集めることを目的としています。

厚生労働省が患者申出療養制度で想定しているのは以下のような医療です。

  • 既に実施されている先進医療の実施計画対象外の患者に対する医療
  • 先進医療としても患者申出療養としても実施されていない医療
  • 現在行われている治験の対象とならない患者に対する治験薬等の使用

将来、保険適用される可能性のある新しい治療や薬としては、先進医療や治験(薬の臨床試験)がありますが、患者申出制度はそれらのさらに手前にある状態の未承認薬を併用できる制度といえます。

先進医療を受けたくても基準にあわなくて受けられなかったときにも、利用できる場合があります。

患者申出療養の位置づけイメージ

2.患者申出療養制度を利用するには?

それでは、患者申出療養制度は、どんなときにどうすれば利用できるのでしょうか?

2-1.どんなときに申請できる?

厚生労働省のWEBサイトによると、以下のようなときが想定されています。

患者申出療養を申請するとき

  • 治験、先進医療、(過去の)患者申出療養のいずれも実施されていない医療を実施してほしいとき
  • 先進医療で実施しているが、実施できる基準に外れてしまったとき
  • 先進医療で実施しているが、身近な保険医療機関で行われていないとき
  • すでに実施されている患者申出療養が身近な保険医療機関で行われていないとき

既に治験や先進医療が行われている場合は、それらを利用することを優先して検討する必要があります。

2-2.患者申出療養の申請(申出)の方法

患者申出療養は、まずはかかりつけの医師と、症状にあった治療法を相談することから始まり、過去に実施例のない療養の場合、以下のような流れで申請をします。

  1. かかりつけ医へ相談
    普段治療を受けているかかりつけ医と治療方針などの話をするなかで、新しい治療法について相談します。
  2. かかりつけ医と大学病院等の連携
    かかりつけ医が大学病院と情報交換し、下記の対応がとられます。
    ・保険外の治療方法が適しているかの検討・情報収集
    ・既存の患者申出療養や先進医療で行われているか、治験実施中の治療であるかの情報収集
    ・治療のための計画を立てるために十分な科学的根拠があるか情報収集
  3. 国への申出
    患者が病院と相談しながら、臨床研究中核病院を経由して厚生労働省保険局医療課に必要書類を提出します。
  4. 審議
    患者申出療養評価会議により、安全性、有効性、実施計画の内容を審査します。
    この審査が通れば、患者申出療養が実施されます。 

患者申出療養は、国が書類を受理してから原則6週間で審査結果が出ます。

また、過去に患者申出療養として実施例がある治療の場合は、国への申請ではなく実績のある臨床研究中核病院に申し出てて審査してもらいます。この審査は原則2週間で結果が出ます。

2-3.患者申出療養にかかる費用は実費負担

1章でご説明したように、この制度は保険診療と自由診療を併用できるという制度なので、患者申出療養で使用する未承認薬の費用は全額自己負担となります。また、この治療にかかる医療費は保険診療ではないので病院によって違ってきます。

3.実は第一例目の承認は9月になってから

患者申出療養は今年4月にスタートしましたが、東京大学医学部附属病院が申請した第一例目の承認が出たのは9月でした。

初承認された診療は、胃がんの腹膜への転移に対する抗がん剤の腹部投与治療で、S-1という抗がん剤とパクリタキセルという抗がん剤を併用する治療です。

治療が困難な病気の患者が受ける医療の幅を広げるための制度ではありますが、一例目の承認が制度開始から半年近く経ってからということからすると、実際に利用するには、いろいろとハードルが高いのではないかと思われます。これ以降、どのようなペースで承認が続いていくのかは気になるところです。

4.今後、医療保険のセールストークに出てくるかも

もし患者申出療養制度を受けるとなると、通常の保険診療の費用に加えて、未承認薬の治療にかかる医療費は自己負担となりますので、かなり高額な医療費の負担が必要となるでしょう。治療によっては100万円単位でかかってくることもあるかもしれません。

そういったときの出費に備えるには、やはり医療保険が必要ですよ。ということになってくると思います。

しかし、前章の一例目の話のように、現状(2016年12月時点)では、まだこの制度はほとんど活用されていません。金銭的に余裕のある人は別ですが、この段階で、あわてて保険に入るのはちょっと早すぎかもしれません。

この制度が広がってくるということになれば、民間の保険の検討も考えていただきたいですが、もし今このようなセールストークを受けたとしたら、ちょっと冷静になりましょう。少なくとも、この制度がどの程度広まっているのか、どれくらい費用がかかるのかを質問してデータを示してもらい、納得できるようになってから備えた方がよいでしょう。

5.まとめ:患者申出療養制度がどうなるかは、まだまだこれから

いろいろな治療を試したいという患者の気持ちに応えるために始まった患者申出療養制度です。難しい病気で困っている人、多少お金がかかったとしても治せる方法があるなら試してみたい人には、よい制度だと思います。

ただし、一般的に広がって多くの人が利用できるようになるかどうかは、まだまだ未知数の制度というのが実情です。
(この制度をきっかけに日本の公的医療保険制度が崩壊するのではないかと危惧している人もいますが、今のところは、とても既存の医療制度を脅かすような存在にはなりえていません。そもそも厚労省がこの制度を創設した理由を信用するなら、本来そういう制度ではないと考えられますが・・・)

とはいえ、私たちは、いつ、どんな難病にかかるかわかりませんし、そのときにこの制度が上手く使えることもあるかもしれません。まずは、こんな制度もあるのだなということを頭の片隅にとどめておくとよいでしょう。

※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。
※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。

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