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「高額療養費」を最大限活用する完全ガイド|過剰な医療保険は不要!

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「高額療養費」を最大限活用する完全ガイド|過剰な医療保険は不要!

入院や手術をして高額な医療費がかかったときに、高額療養費という制度があるのをご存じですか?

高額療養費制度では1ヵ月の医療費の自己負担額に上限が決まっていて、その上限を超える金額は負担する必要がありません。平均的な所得の人であれば、1ヵ月の自己負担額は約8万円程度でよく、それ以上はかかりません(保険適用外の費用は除く)。しかも、意外に知られていませんが、高額療養費は健康保険の制度の一つなので、誰でも利用することができます

たとえ民間の医療保険に入っていなくても、私たちは、公的な医療保険で結構守られているのです。

だから、そのことを知らずに民間の医療保険に入っていると不要な保険料を負担してしまっているかもしれません。
また、知っていて医療保険に入っていない場合でも、高額療養費を使っても削減できない費用があるため、聞きかじっただけで判断したのであれば、もしものときに思った以上の出費があって涙することになるかもしれません。

ここでは、高額療養費を使った場合の自己負担額の計算方法や申請方法高額療養費の対象にならない費用病院窓口での医療費の支払いを安くするポイントなどについて、わかりやすく説明しています。また、高額療養費を踏まえた民間の医療保険の入り方についても解説していますので、お読みいただくと、余計な保険に入らずにすみ、無駄な出費を抑えることができます。

※2017年8月3日 70歳以上の高額療養費の自己負担限度額の改定(平成29年8月~)に対応

1. 高額療養費とは?(制度のきほん)

高額療養費とは、長期の入院や通院、手術などで医療費の自己負担額(いわゆる3割負担の額)が高額になったときに、家計の負担を減らすための制度です。

1-1. 1ヵ月の医療費の自己負担額には上限がある(一般的には約8万円)

高額療養費制度では、1ヵ月に支払う医療費の自己負担額に上限が決められていて、その上限を超えた場合は、申請により超えた金額が戻ってきます。

自己負担限度額の詳しい計算式は、あとで紹介しますが、平均的な所得の会社員の世帯では、約8万円くらいとなります。

1-2. いわゆる3割負担の医療費で21,000円以上支払ったものが対象

高額療養費の対象となる医療費は、病院の医療費や処方せんによる薬代などで、いわゆる3割負担(年齢により1~3割)で支払った費用になります。

1ヵ月の医療費の計算では、その月の1日から月末までに、1人の人が、同じ病院で支払った医療費を合計します。その際に処方せん薬の代金は、その処方せんを出した病院の医療費と合計します。ただし同じ病院でも、通院と入院は別々に計算し、歯科がある場合も別に計算します。

ここまでの合計額が21,000円以上になったものが高額療養費の計算の対象となります。
※70歳以上の人は21,000円に満たない医療費もすべて対象なります。

1-3.複数の病院や家族の医療費は合算できる!

高額医療費の計算では、同じ月の複数の病院での医療費や家族がいる場合の家族の医療費は合算することができます。

1-3-1.複数の病院や入院・通院別の医療費の合算

1人の人が同じ月に複数の病院にかかったり、同じ病院でも入院と通院がある場合などは、それぞれの医療費の負担が21,000円以上になっているもの(70歳以上の人は全額)を合算できます。

1-3-2. 家族がいるときの世帯合算

家族(同じ健康保険の対象者)がいる場合、家族の医療費も21,000円以上のもの(70歳以上75歳未満の人は全額)を合算することができます。

ただし、75歳以上の人がいる場合は、75歳未満の人と75歳以上の人を合算することはできません。75歳以上の人は後期高齢者医療制度という、通常の健康保険とは別枠の公的医療保険の対象となるからです。
同様に、夫婦共働きで、夫・妻がそれぞれの勤務先の健康保険に加入している場合は、夫と妻の医療費は合算できません。

1-3-3.合算できる医療費とできない医療費の例

高額療養費の計算で、合算できる医療費と合算できない医療費を例をあげて説明します。

  • 医療費の合算例
    Aさん(47歳、男性、会社員)の世帯の場合
    家族:妻(45歳、専業主婦)、娘(17歳、高校生)、父(76歳、無職)、母(73歳、無職)
    ※Aさんの父以外はすべてAさんの健康保険の被扶養者とする
医療を受けた人 診療内容 自己負担額 合算 備考
Aさん本人(47歳) 虫垂炎(入院) 100,000円  
Aさん本人(47歳) 虫垂炎(通院) 5,000円 × 21,000円未満
妻(45歳) 大腸ポリープ切除 25,000円  
娘(17歳) 結膜炎治療 2,000円 × 21,000円未満
父(76歳) 骨折治療 30,000円 × 75歳以上
母(73歳) 風邪治療 3,000円 70歳以上75歳未満は21,000円未満でもOK

合算できるのは、Aさん本人の入院の費用と妻の大腸ポリープ切除の費用、母の風邪治療の費用です。

1-4. 自己負担限度額の計算

高額療養費の自己負担限度額は、年齢や所得によって違っていて、下記表の計算式にあてはめて計算します。
なお、下記表の総医療費は、前節までで計算した医療費の自己負担額(3割負担分)の合算額に対する健康保険からの補助(給付)分も含めた医療費全額(10割の額)となります。

■70歳未満の1ヵ月の自己負担限度額

所得区分 自己負担限度額
(年収の目安)※1 (実際の区分) (計算式) (目安の金額)

約1,160万円~

健保:標準報酬月額83万円以上
国保:総所得901万円超
 252,600円+
(総医療費-842,000円)×1%
約25万円
約770万~1,160万円 健保:標準報酬月額53万~79万円
国保:総所得600万~901万円
 167,400円+
(総医療費-558,000円)×1%
約17万円
約370万~770万円 健保:標準報酬月額28万~50万円
国保:総所得210万~600万円
80,100円+
(総医療費-267,000円)×1%
約8万円
~約370万円 健保:標準報酬月額26万円以下
国保:総所得210万円以下
57,600円
住民税の非課税者等 35,400円

※1 所得区分をわかりやすくするために目安の年収を示していますが、実際は年収によって区分が分かれているわけではありません。

(出典)厚生労働省WEBサイトより

高額療養費の計算例

70歳未満の場合、たとえば、年収が500万円くらいの人が1ヵ月に3割負担で15万円の医療費を支払ったとすると、総医療費は50万円となるため、

 

自己負担限度額=80,100円+(500,000円-267,000円)×1%=82,430円

 

となります。

 

つまり、15万円の医療費の支払いがあっても、実際の負担は自己負担限度額の82,430円ですみ、限度額を超えた67,570円は戻ってくることになります。

ちなみに、協会けんぽのWebサイトには高額療養費の簡易試算ツール(70歳未満用)があります。

70歳以上の自己負担限度額は、70歳未満とは別の規定があります。また、平成29年、30年と2年続けて段階的に改正されます。

70歳以上の1ヵ月の自己負担限度額(平成29年7月まで)

所得区分 自己負担限度額
外来(個人ごと) 外来・入院(世帯合算)
現役並み所得者
(月収28万円以上などの医療費3割負担者)
44,400円 80,100円+
(総医療費-267,000円)×1%
一般 12,000円 44,400円
 低所得者
(住民税非課税者)
下記以外   8,000円 24,600円
総所得金額が0円の世帯
(年金収入のみの場合、年金受給額80万円以下など)
  8,000円 15,000円

 

70歳以上の1ヵ月の自己負担限度額(平成29年8月~平成30年7月)

所得区分 自己負担限度額
外来(個人ごと) 外来・入院(世帯合算)
現役並み所得者
(月収28万円以上などの医療費3割負担者)
57,600円 80,100円+
(総医療費-267,000円)×1%
一般 14,000円
(年間144,000円)
57,600円
 低所得者
(住民税非課税者)
下記以外   8,000円 24,600円
総所得金額が0円の世帯
(年金収入のみの場合、年金受給額80万円以下など)
  8,000円 15,000円

(出典)厚生労働省WEBサイトより

70歳以上の場合、まず個人ごとに外来費用の高額療養費の計算を行います。次に、その結果の自己負担額と入院費用を合計し、70歳以上75歳未満の家族について合算して高額療養費を計算します。75歳以上の人は75歳以上の人同士で合算します。

同じ健康保険の被保険者・被扶養者に70歳未満、70歳以上75歳未満の家族が混在するときは、70歳以上75歳未満の高額療養費を計算した後の自己負担額を70歳未満の人の医療費に合計して、70歳未満の計算式で高額療養費の計算をします。75歳以上の人は、他の年齢層の人と合算できません。

1-5. 1年以内に何回も高額になると限度額が下がる

1年間(直近12ヵ月)に同一世帯で3回以上高額療養費に該当した場合は、多数該当といって、4回目からはさらに自己負担限度額が少なくなり、平均的な所得の世帯では44,400円ですみます

■多数該当の数え方
多数該当の数え方

高額療養費によって1ヵ月の医療費が8万円程度(平均的な所得の世帯)ですんだとしても、長期入院などで何ヵ月も高額な医療費の支払いが続いた場合は、その負担が重くなります。多数該当は、そのようなときの家計の負担を軽減してくれる制度です。

■70歳未満の多数該当の1ヵ月の自己負担限度額

所得区分 多数該当の
自己負担限度額
(年収の目安)※1 (実際の区分)

約1,160万円~

健保:標準報酬月額83万円以上
国保:総所得901万円超
140,100円
約770万~1,160万円 健保:標準報酬月額53万~79万円
国保:総所得600万~901万円
  93,000円
約370万~770万円 健保:標準報酬月額28万~50万円
国保:総所得210万~600万円
  44,400円
~約370万円 健保:標準報酬月額26万円以下
国保:総所得210万円以下
  44,400円
住民税の非課税者等   24,600円

※1 所得区分をわかりやすくするために目安の年収を示していますが、実際は年収によって区分が分かれているわけではありません。
注)多数該当は直近1年間に3回以上高額療養費の支給を受けている場合の4回目から

(出典)厚生労働省WEBサイトより

なお、70歳以上では、現役並み所得者の外来・入院(世帯合算)の部分については多数該当がありますが、それ以外には多数該当はありません。

■70歳以上の多数該の1ヵ月の自己負担限度額

所得区分 多数該当の自己負担限度額
外来・入院(世帯合算)
現役並み所得者
(月収28万円以上などの医療費3割負担者)
44,400円

注)多数該当は直近1年間に3回以上高額療養費の支給を受けている場合の4回目から

(出典)厚生労働省WEBサイトより

2. 高額療養費の基本的なメリットのまとめ

ここまで細かい制度説明が続いてしまいましたので、ここで高額療養費の基本的なメリットをおさらいしておきましょう。

<高額療養費のメリット>

  • 誰でも利用できる(健康保険の制度なので)
  • 同一世帯の家族の医療費は合算できる
  • 1ヵ月の自己負担限度額は約8万円(平均的な所得の世帯の場合)ですむ
  • 1年に3ヵ月以上該当したときは4ヵ月目以降はさらに負担が軽くなる

高額療養費には、以上のようなメリットがありますが、原則は後からお金が戻ってくる制度なので、一時的には高額な医療費の支払いが必要となります。この点に関しては、病院の窓口での支払額を少なくすることができる2つの制度があり、それもメリットといえます。

<病院での支払額をおさえられるメリット(制度)>

  • 事前に限度額適用認定を受けると、病院での支払いが限度額だけですむ
  • 高額医療費貸付制度を利用すると、病院での支払いを少なくすることができる

この2つの制度については、このあと4章で詳しく説明します。

3. 要注意!高額療養費の対象にならない費用もある

高額療養費はメリットが多く、医療費の自己負担額を限定してくれる制度ですが、対象となる医療費はあくまでも健康保険の適用となる医療費のみで、それ以外の医療費は別扱いで全額自己負担が必要です。たとえば、個室や少人数部屋に入院したときの差額ベッド代などが対象外の費用となります。

高額療養費の対象外となる費用の例

  • 差額ベッド代
    (平均5,918円 ※中央社会保険医療協議会 平成26年9月 第282回総会 議事次第より)
  • 入院中の病院の食事代
    (一般世帯の場合、1食360円※平成28年時点)
  • 入院中の日用品代等
  • 先進医療の費用
    (医療内容により違います。一部に高額な治療があります。最高300万円)
  • 健康保険適用外の診療費用
    (ex. 歯科治療の自由診療費用、美容整形費用など)
  • 正常分娩の出産費用
    (40~50万円程度、ただし出産一時金の支給があります。一児につき42万円または40.4万円)

高額療養費はあくまでも健康保険が適用される医療費を軽減する制度なので、たとえば個室で差額ベッド代が多くかかるようなケースでは、高額療養費を使ったとしても医療費の自己負担額の合計は高額になってしまう場合があります。

そのようなケースの医療費の負担を軽減するには、民間の医療保険の活用も検討するとよいでしょう。

なお、差額ベッド代の要・不要については「不要な差額ベッド代を払いたくない人のための基礎知識」をご参照ください。

4. 高額療養費で医療費の支払いを安くするための3つのポイント

高額療養費で医療費の支払いを安くするための3つのポイント高額療養費制度を活用して医療費の自己負担額をおさえたり、病院窓口での支払額をおさえるための3つのポイントを紹介します。

 

4-1. 高額療養費は自分で申請する意識を持つ

高額療養費は、加入している健康保険によって利用手続きが異なります。健康保険組合や共済組合いなどでは、申請しなくても自動的に高額療養費が支給されるようになっているところがあります。また、国民健康保険では高額療養費に該当する場合に申請書類を送ってきてくれる自治体も多くあります。

しかし、一方で協会けんぽなど、自分で申請書類を入手して手続きをしなければならないところもあります。そのような場合は、何もしないでいると高額療養費を利用できないということになります。転職などで、健康保険が変わった場合などは、勘違いから申請漏れが起きる場合もあるので注意が必要です。

自分が加入している健康保険がどのタイプであるのかをきちん確認することを含めて、高額な医療費が発生した月があったら、高額療養費の申請について正しい情報を入手して、必要なら手続きを取るようにすることが大切です。

4-2. 高額療養費は事前に申請すると、病院での支払いを安くできる

高額療養費は一旦医療費を支払って、後から限度額を超えた分が戻ってくる制度です。したがって、一時的には限度額にかかわらず高額な医療費を支払わなければなりません

しかし、入院などをすることになり高額な医療費の支払いが発生しそうだというときは、事前に申請して限度額適用認定証を交付してもらえば、病院での支払時に認定証を提示することで、自己負担限度額のみの支払ですますことができます。申請方法については「5-2.事前(限度額適用認定)の申請手順」で説明します。

なお、70歳以上75歳未満の方は、交付されている高齢受給者証を保険証とともに病院の窓口に提出することで同様の取り扱いとなります。

4-3. 事前申請ができなかったときでもお金を借りることができる

高額療養費に該当する場合で、事前に限度額適用認定証が準備できておらず、高額な医療費の支払いが難しいときには、高額医療費貸付制度があり、高額療養費で戻ってくる予定の金額の8割相当の額を無利子で借りることができます。高額療養費でお金が戻ってくるまでは3ヵ月程度かかるので、この貸付で医療費を支払うことが可能です。

この貸付制度については、加入している健康保険によって取り扱いに違いがあります。加入している健康保険の保険者にご確認ください。

5. 高額療養費の申請方法

それでは、いざ高額療養費を利用したい場合の申請方法をおさえておきましょう。

5-1. 通常の高額療養費の申請手順

高額療養費の申請は、加入している健康保険によって少し違っています。一部の健康保険組合や共済組合では、申請しなくても自動的に高額療養費が支給されるようになっているところもあります。

5-1-1. 申請の流れ

一般的な申請手順は、おおむね以下のような流れとなりますが、詳細は加入している保険者にご確認ください。

(1)申請書の入手
まず、高額療養費の申請書を入手します。勤務先の健康保険の担当者からもらうか、そうでない場合は、自分で健康保険の保険者に請求したりWEBサイトからダウンロードします。国民健康保険では、高額療養費に該当する場合に、請求しなくても送ってきてくれる自治体もあります。

(2)申請書の記入・提出
入手した高額療養費の申請書を記入して記入済みの申請書と医療費の領収書・けがの場合の負傷原因届等必要な添付書類を添えて、保険者に提出します。
勤務先を通じて提出する場合と保険者に直接提出する場合があります。

申請書の例はこちら(協会けんぽの場合)

(3)高額療養費の振込み
申請をもとに確認・審査等が行われたあと、高額療養費が指定の銀行口座に振り込まれます。

お金が振り込まれるまでは、一般的には高額医療費の支払いがあってから3ヵ月くらいかかります。

5-1-2. 申請期限

高額療養費には時効があり、高額療養費の対象となる月の翌月1日から2年以内に申請しなければ、権利がなくなってしまいます。

逆に、もし2年以内に高額療養費の対象となる医療費の支払いがあって、まだ申請していない場合は、これからでもこの制度の申請が可能といえます。

5-2. 事前(限度額適用認定)の申請手順

事前に高額な医療費がかかるとわかっていて、限度額適用認定を申請する場合の手順はおおむね以下のようになります。

(1)申請書の入手
健康保険の保険者に申請書を請求します。最近は各保険者のWEBサイトでダウンロードできるところが多くなっています。

(2)申請書の記入・提出
入手した限度額適用認定の申請書に記入して、健康保険の保険者に提出します。提出方法は、郵送や窓口への持参となります。

申請書の例はこちら(協会けんぽの場合)

(3)限度額適用認定証の交付
申請から数日~1週間程度で、保険者から認定証が送られてきます。国民健康保険で各自治体の窓口で申請した場合は、即日交付してくれるところもあります。

6. 高額療養費を踏まえた上で、それでも医療保険に入るべきケース

入院や手術をして高額な医療費がかかったときに備えて、保険会社の医療保険に入っている人や入ろうとしている人も多いのではないでしょうか?

しかし、私たちには高額療養費という制度があるので、そのことを考えずに医療保険に入ってしまうと、保障が過剰になりその分無駄に保険料を払ってしまうことにもなります。そうならないための医療保険の入り方(加入の考え方)として、どのようなケース・どのような人がに医療保険に入ればよいかを紹介します。

考え方としては、高額療養費を受けても、なお必要となる自己負担額がいくらかかるのか? そしてその金額を自分で負担できるのかということがポイントになります。

6-1.高額療養費を利用した上で負担が必要な金額

高額療養費を利用した上で、自分で負担しなければならないお金には以下のようなものがあります。

  • 高額療養費制度の自己負担分(平均的な所得の人で約8万円/月)
  • 差額ベッド代
  • 入院にともなう日用品代等
  • 食事代(入院しなくてもかかるものなので、本来は医療費に加えるべきではない)

こういった費用がどれだけかかるのかは、病気やけがの種類や治療期間等により様々ですが、一般的にどれくらいの自己負担があるかという、まさにぴったりの統計データがあります。

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(平成25年度)」によると、入院時の自己負担費用の平均は22.7万円となっています。

もっとも割合の多い費用帯は「10~20万円未満」で35.3%、次が「5~10万円未満」の17.9%、その次が「20~30万円未満」の16.6%となっています。

  ■入院時の自己負担費用
入院時の自己負担費用

※高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額
※治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品費などを含む。

(出典)生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(平成25年度)」より

30万円未満までを合計すると約80%となっており、30万円あれば大体の入院には備えられることになりそうです。

6-2.医療保険に入ったほうがいいケース

医療保険に入ったほうがいいケース

前節のデータより、急に医療費の出費があったとしても30万円(平均値でみると20万円)くらいなら十分に払えるだけの貯えがある人、あるいは、それくらいの金額であれば保険でなく自分で貯蓄で備えたいという人は、医療保険の必要性は低いです。

その逆で、30万円の出費があると困る。そこまでいかなくても1ヵ月の限度額の8万円の出費でも困るといった人は医療保険に加入した方がよいでしょう。

また、該当するケースはまれですが、先進医療(*1)のなかには、治療費が特に高額となるがんの重粒子線治療(約300万円)や陽子線治療(約200万円)があります。これらの治療費へのリスクが気になる場合は、医療保険やがん保険に先進医療特約がありますので、検討してみてもよいでしょう。
ただし、これらの治療を行っている医療機関は国内に十数ヵ所しかなく、先進医療に該当する条件も細かくあるため、実際に治療を受ける確率は低い(*2)のが現状です。

(*1)厚生労働大臣が定めた療養で、将来保険診療に加えるかどうかを判断する評価中の療養です。先進医療は全額自己負担の治療ですが、保険診療との併用が認められています。
(*2)国立がん研究センターが発表した2015年のがん患者予測は約98万人、医用原子力技術研究振興財団が発表した平成25年度の粒子線治療の患者数は約4,700人。全がん患者の0.5%程度が受ける治療といえます。

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7. さらに高額な医療費を軽減する制度が2つある

高額療養費に関連して、さらに高額な医療費を軽減してくれる制度が2つあります。

7-1. 人工透析を受けている場合などの限度額は10,000円

特定の疾病で長期間高額な医療費の支払いが必要なケースのさらなる自己負担の軽減制度として、人工透析を受けている慢性腎不全の患者や血友病、抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群(AIDS)の人は、認定を受けると1ヵ月の自己負担限度額が10,000円になります。ただし、標準報酬月額が53万円以上の70歳未満の被保険者とその家族(国民健康保険の場合は総所得600万円超の世帯の70歳未満の人)は20,000円となります。

各保険者への申請後、特定疾病療養受療証の交付を受けて、医療機関の窓口にその受領証を提示することで、1ヵ月の支払い額を10,000円(または20,000円)までにできます。

7-2. 世帯の医療費と介護費用を合わせた出費は年間67万円まで

同一世帯内に公的介護保険のサービスを利用している人がいる場合には高額介護合算療養という制度があり、毎年8月から翌年の7月までの1年間の医療費の自己負担額(健康保険の1~3割負担分)と介護保険の自己負担額の合計が基準額を超えた場合に、超えた金額が支給されます。

平均的な所得の世帯であれば、医療費と介護費用を合わせた年間の自己負担額は67万円ですみます。

■70歳未満の高額介護合算療養の基準額

所得区分 合算療養の基準額
(自己負担限度額)
(年収の目安)※1 (実際の区分)

約1,160万円~

健保:標準報酬月額83万円以上
国保:総所得901万円超
212万円
約770万~1,160万円 健保:標準報酬月額53万~79万円
国保:総所得600万~901万円
141万円
約370万~770万円 健保:標準報酬月額28万~50万円
国保:総所得210万~600万円
67万円
~約370万円 健保:標準報酬月額26万円以下
国保:総所得210万円以下
60万円
住民税の非課税者等

34万円

※1 所得区分をわかりやすくするために目安の年収を示していますが、実際は年収によって区分が分かれているわけではありません。

(出典)協会けんぽWebサイトより

■70歳以上の高額介護合算療養の基準額

所得区分 合算療養の基準額
(自己負担限度額)
現役並み所得者
(月収28万円以上などの医療費3割負担者)
67万円
一般 56万円
 低所得者
(住民税非課税者)
下記以外 31万円
総所得金額が0円の人
(年金収入のみの場合、年金受給額80万円以下など)
19万円

(出典)協会けんぽWebサイトより

なお、高額介護合算療養費を受けるには、以下のような条件があります。

<高額介護合算療養費の計算・支給の条件>

  • 70歳未満の人の医療費は、医療機関別、医科・歯科別、入院・通院別に21,000円以上が合算対象
  • 医療費・介護保険のどちらかの自己負担額が0円は対象外
  • 支給額が500円以下になるときは支給されない

8. まとめ:高額な医療費を防げる高額療養費は必ず申請を!

高額療養費は、誰もが加入している健康保険の制度で、高額な医療費がかかるときに自己負担額を約8万円(平均的な所得の世帯)に軽減してくれる制度です。しかも、長期入院などで、1年間に3回以上該当した後は4回目からは、さらに限度額が少なくてすみます。

この制度を利用すれば、民間の医療保険に入っていない人でも、高額医療費にある程度備えることができます(個室などを利用するケースを除く)。ぜひ自分で申請する意識をもって有効に使ってください。
特に、事前に限度額適用認定証を申請したり、それができなかった場合でも高額医療費貸付制度を利用したりすると、病院での健康保険適用医療費の支払いを自己負担限度額だけに抑えることができます

さらに、この高額療養費を前提に考えると、30万円程度の医療費を自己負担できるかどうかという基準で、民間の医療保険への加入の必要性を判断することができ、単なる不安心理だけで高額な医療保険に入ってしまうことを防ぐことができます。

高額療養費は、健康保険組合等によっては自動的に支給してくれるところもありますが、そうでないところは自分で申請が必要です。この制度を知らなくても、勤務先から教えてもらえればよいですが、もし教えてもらえなかったときには高額な医療費すべてを自己負担しなければならなくなってしまいます。もしものときに備えて絶対に覚えておいてください。

※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。
※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。

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